多くの外国人の方が日本に来て、また日本人も多く海外に出ていくようになりました。
こうして日本と外国との交流が当たり前になってくると、日本人と外国人の国際結婚も当然ですが増えてきます。
ところで、国際結婚をするとき、
「国籍はどうなるの?」
「戸籍は?」
という疑問や
「苗字はどうなるの?」
「外国人パートナーの苗字を名乗れるの?」
「外国人パートナーが日本人の苗字にできるの?」
という疑問が生じます。
ここでは、外国人と国際結婚したカップルの国籍、戸籍と苗字について説明します。
この記事の内容
国際結婚したカップルの国籍
日本人と外国人が国際結婚しても、原則として、日本人が日本国籍を失うことはありませんし、外国人の方が日本国籍を取得することもありません。
つまり、国際結婚しても国籍は変わらないのが原則です。
国際結婚しても国籍が変わらないのは原則ですが、これには例外もあって、日本人の女性が外国人男性と国際結婚する場合で、外国人配偶者の国籍によっては相手国の国籍を自動的に取得するケースもあります。
夫の本国の国籍を自動的に取得する場合
例えばイランでは、イラン人でない女性がイスラム方式によってイラン人男性と国際結婚した場合は、イランの法律でイラン国籍を取得することになります。
イラン以外でも、セネガル、コートジボワール、チャドなどでも同じような法律になっているようです。
このような場合でも、すぐには日本国籍は失われません。
つまり、イラン人男性と国際結婚した日本人女性は、日本とイランの二重国籍になります。
しかし、日本の国籍法は二重国籍を認めていないので、二重国籍となってから一定期間内に日本国籍あるいは外国籍のどちらかを選択しなければなりません。
もし、期間内に国籍の選択をしなかった場合には、日本国籍を失うことになるので注意が必要です。
外国人と国際結婚したカップルの戸籍
戸籍の説明をしたいところですが、その前にまず住民票から。
住民票と戸籍で扱いが違うんです。
外国人の住民票
平成24年7月9日から3か月超の在留期間をもって日本に滞在する外国人の方も住民登録されるようになり、外国人の方も住民票に記載されるようになりました。
それより前は、外国人の方は、外国人登録原票という書類に登録されていても、住民票はありませんでした。
そのため、家族で一緒に住んでいても外国人の配偶者は同じ住民票には載っていませんでした。
しかし、今では外国人の方にも住民票ができたおかげで、日本人と外国人の家族は一緒の住民票に載るようになりました。
しかし、戸籍は違います。
国際結婚したときの戸籍
戸籍には日本国籍の人しか登録されないことになっています。
ですから、日本人と結婚して日本に住んでいても外国人の方の戸籍は作られません。
では、日本人の戸籍はどうなるでしょうか?
日本人同士が結婚したときは、夫婦で新しい戸籍が作られます。
これに対して、外国人と結婚したときは、外国人は戸籍には載らないため日本人だけで戸籍が作られます。
つまり、国際結婚の場合、夫婦一緒の戸籍は作られません。
例えば初婚だとそれまで両親と同じ戸籍に入っていますが、結婚することで両親の戸籍から出て、その方の新しい戸籍が作られるということになります。
この戸籍には、「外国人の方と結婚して新しい戸籍が作られた」ということは書かれますが、戸籍に載っているのはあくまでも一人だけです。
結婚したのに、戸籍だけ見るとなんだか寂しいですね。
日本人と外国人が国際結婚したときの苗字
では、国際結婚すると苗字はどうなるでしょうか?
日本人の「佐藤さん」とアメリカ人の「スミスさん」が結婚したとして説明しましょう。
国際結婚した日本人配偶者の苗字
この場合、日本人の佐藤さんには「佐藤さん」を苗字とする戸籍が作られます。
そのままでは、日本人の佐藤さんの苗字は変わりません。
外国人配偶者の苗字も変わるわけではないので、夫婦別姓ですね。
しかし、夫婦で同じ苗字を名乗りたいというとき、佐藤さんはスミスさんという苗字にできるでしょうか?
できるとしたら、どうすればいいでしょうか?
外国人と結婚した日本人は、結婚の日から6か月以内に届け出をすれば、外国人パートナーの苗字に変えることができます。
この届出は「外国人との婚姻による氏の変更届」といいます。
婚姻から6ヶ月以内とされていますが、婚姻届と一緒に出すのが最もスムーズです。
ただし、この届出をしても戸籍上の苗字は日本の文字でなければならないため「スミス」とはできますが「Smith」とはできません。
苗字を外国人配偶者のものと同じにする「外国人との婚姻による氏の変更届」ですが、届出先は日本に住んでいれば市区町村、海外に住んでいるときは、その国にある日本大使館・領事館です。
結婚から6か月を過ぎてしまうと苗字を変えられないかというと、そうではありません。
国際結婚から6ヶ月を経過しても「やむを得ない事由」があるときは、家庭裁判所の許可を得て外国人配偶者と同じ苗字に変えることができます。
裁判所の許可を取るのは時間と手間がかかるので、苗字をどうするか決めてから婚姻届を出す方がいいですね。
外国人の配偶者の苗字
国際結婚しても、外国人の方の苗字が当然に変わるということもありません。
先程説明したように、日本人は外国人配偶者の苗字に変えることはできます。
では、外国人の方は日本人配偶者の苗字を名乗ることはできないでしょうか?
外国人の方は、住民登録される本名とは別に「通称」の登録をすることができます。
先程のスミスさんは、「佐藤」という通称を登録することによって、日本で「佐藤」と名乗ることができます。
まとめ
まとめとして、再度確認しますね。
日本人と外国人が国際結婚すると、日本人だけの戸籍が作られます。
苗字も日本人のものは変わりませんが、結婚から6か月以内に届出をすれば、外国人の配偶者の苗字に変えることができます。
次の記事では、国際結婚の夫婦から生まれた子どもの国籍について書いています。