母子家庭の生活保護はいくら?生活に困ったらあきらめずに申請を

離婚してシングルマザーになると、母子家庭では生活が苦しいことが多いです。

厚生労働省の調査でも、母子家庭の平均収入は年200万円程度。これは平均で、実際には収入が200万円未満の家庭が60%近くあります。

収入が少なくて生活していくのが難しいときは、生活保護を受けられる可能性があります。

生活保護には、一部でネガティブな意見もあり、そういう意見を目にすると

生活保護をもらっていいのかな・・・?
と思うかもしれません。

生活保護は、収入や資産が少なくて経済的に困っている家庭の生活を支援する国の制度です。生活が苦しくて辛いと思ったら、生活保護を受けられるか検討してみましょう。

私は生活保護を受けられるのかな?

生活保護を受けるには条件がありますが、条件に合えば生活保護を受けられます。

ここでは、生活保護の条件や金額などについて詳しく説明します。

生活保護を受ける要件

資産の活用(資産がないこと)

生活保護を受けるには、資産(財産)を持つことはできません。

資産を持っているときは、生活保護を受ける前に売ってお金にして、それを使ってからでないと生活保護の申請が受理されません。

資産で問題になるの、預貯金、保険、家、自動車です。

預貯金があるときは、最低生活費の半分程度まで減らしてからの申請になります。

最低生活費
最低生活費については、このあとで説明します。最低生活費は生活保護の基準になる金額ですが、思ったより金額は高いですよ。

保険で特に問題になるのは学資保険です。学資保険は解約返戻金(そのとき解約して受け取れるお金)の額が50万円以下だと、そのまま保有が認められます。

家があるというケースは少ないと思います。もし家があっても、処分してもたいして価値がなく、そのまま使うほうがメリットが大きいという場合には、例外的に保有することができます。

自動車が一番問題になりがちです。原則として、自動車の保有は認められません。しかし、自動車の価値が低く、通勤でどうしても必要なときや障害があって自動車が必要な場合には、例外的に自動車の保有が認められることもあります。自動車がある場合には、生活保護申請の際に福祉事務所とよく相談する必要があります。

能力の活用(働ける人は働く)

能力の活用とは、「働ける方は働いてください」ということです。働いても最低生活費を超える収入を得られないときは生活保護の対象になります。

シングルマザーで働いても最低生活費以上の収入がないときは、生活保護を受けることができます。

また、病気や障害で働くことができないときも、生活保護を受けることができます。

あらゆるものの活用(他の制度を受けても生活できない)

生活保護を受ける前に、他の制度で給付を受けることができるものがある場合、先にそれらの給付を受けることが必要です。

母子家庭では、児童手当や児童扶養手当を生活保護より先に受給し、それらを受給しても最低生活費に足りないときに生活保護を受けることができます。

扶養義務者の扶養(扶養義務者から援助を受けられない)

親や子どもの父親などの親族から援助が受けられる場合には、援助が優先されます。援助が受けられる場合には、援助を加えても最低生活費に不足するときに生活保護を受けることができます。

生活保護の申請をすると、福祉事務所から親族に「援助できるかどうか」の問い合わせが行きます。

親族の援助は強制できないので、扶養義務者が絶対に援助しなければならないわけではありません。さまざまな事情で援助できないケースが多く、親族から「援助できない」という返事があれば、福祉事務所もそれ以上援助を求めることはありません。

生活保護のメリット・デメリット

生活保護のメリット

  • 最低限の生活費は保障される
  • 支払わなくてよくなるものがある

生活保護を受給すると、国が定める最低生活費は保障されます。決して裕福な生活ができるわけではありませんが、最低限の生活は十分できるので、毎月生活費の心配をする必要はなくなります。

また、生活保護を受給すると、支払わなくてよくなるものがあります。例えば、医療費、水道料金、NHKの受信料、国民年金、国民健康保険料などです。

特に、医療費が無料になるのはメリット大です。小さい子どもがいる家庭だと、子どもが熱を出したりして病院にかかることも多いですが、医療費はかからないので安心して病院に行くことができます。

生活保護のデメリット

生活保護のデメリットとして、定期的に担当のケースワーカーに収入の状況などを報告しないといけないということがあります。しかし、これは、収入をもとに生活保護費を計算するので、生活保護を受給するとどうしても必要なことです。

このとき、収入を隠すと不正受給になってしまうので、正直に答えるようにしましょう。

生活保護によくある誤解

働いていると生活保護をもらえない

働いて給料をもらっていても、収入が最低生活費以下だと生活保護をもらうことができます。

また、先ほども説明しましたが、生活保護の条件として「能力の活用」というのがあって、働ける人は働いて足りない分を生活保護で生活費を保障することになっています。

生活保護をもらうと貯金できない

生活保護費は、最低限の生活費しか支給されないので、生活保護費の中から貯金するのは難しいことです。

ですが、生活保護費から貯金してはいけないわけではありません。

例えば子どもの学費のためなど目的を決めて、生活保護費をやりくりして貯金することまで禁止されてはいません。

生活保護を申請するときに貯金があると貯金を使ってからでないと申請できませんが、生活保護の受給が始まった後は、やりくりしながら目的を決めて貯金はできるということです。

生活保護ではお金の使いみちを制限される

生活保護は生活に最低限必要な金額しか支給されないので、生活費以外に使う余裕はほとんどありません。

ですが、お金の使いみちを決められているわけではないので、生活費をやりくりしながら、子どもを遊びに連れて行くことも問題ありません。

生活保護の金額

生活保護費は、国が定める最低生活費と収入を比べて、収入が最低生活費より少ないときに最低生活費と収入の差額が生活保護費として支給されます。

MEMO
働いた給料の一部は経費として認められて、収入から差し引くことができます。そのため、働いていると実際には最低生活費より少し多く手元に残ることになります。

住んでいる地域の級を調べる

最低生活費と言っても、住んでいる地域で生活費が高いところ安いところがありますよね。そこで、国は最低生活費を決めるのに、市区町村を級に分けて、それぞれの級で最低生活費を定めています。

級地は1級地ー1から3級地ー2までの6区分です。下のリンクから住んでいる地域の級地を調べてみてください。

参考 生活保護の級地区分厚生労働省
例えば、東京23区や横浜市、名古屋市、大阪市など大都市とその周辺は1級地ー1です。

生活保護で受け取れるもの

母子家庭で生活保護を受けるときの最低生活費は、次の費用を基準に従って足した合計額になります。

日常生活に必要な費用生活扶助

・食費などの個人別生活費

・水道光熱費などの世帯の生活費

アパート等の家賃住宅扶助(世帯の人数や住んでいる地域で上限が決まっている)
教育を受けるのに必要な学用品費教育扶助
児童養育加算児童を養育している場合、児童一人当たり決まった額を支給
母子世帯加算母子家庭に児童の数に応じて決まった額を支給

この他にも、障害がある場合は障害者加算、介護が必要になる場合は介護費用を加算して最低生活費を計算します。また、出産する場合は、出産費用も扶助されます。

母子家庭の生活保護費の例

最低生活費の計算はとても複雑なので、例を出して計算してみましょう。ここで計算する最低生活費以下の収入しかない場合には、生活保護を受けられることになります。

東京23区内(1級地−1)で7歳の子ども1人扶養している30歳のシングルマザーの場合

生活扶助118,160円
母子世帯加算20,300円
児童養育加算10,190円
住宅扶助加算64,000円
教育扶助2,600円
最低生活費合計215,250円

大阪市内(1級地−1)で14歳と11歳の子ども2人扶養している40歳のシングルマザーの場合

生活扶助154,050円
母子世帯加算24,200円
児童養育加算20,380円
住宅扶助加算52,000円
教育扶助7,700円
最低生活費合計258,330円

生活保護費の計算は複雑なので多少計算を間違っているかもしれませんが、だいたいこの位の金額が目安になります。

思ったより最低生活費は高いですね。

そうですね。給料や児童手当、児童扶養手当などの収入合計が、最低生活費以下だと生活保護の対象になります。

生活保護の申請

生活保護の申請は、住んでいる市区町村の福祉事務所でします。初めて申請に行ってその場で生活保護の申請を受け付けてくれることはまずないので、最初は生活保護の相談に行って現状を説明して理解してもらいましょう。

生活保護の相談に行く際は、給与明細などの収入がわかるもの、預金通帳など財産がわかるもの、アパートの契約書などを持っていくと現状をわかりやすく見てもらえます。

生活保護の窓口で申請できないと言われた場合

生活保護の申請に行っても、窓口で追い返されることもあります。

明らかに最低生活費以下の収入しかないのに門前払いされたときは、1人で悩まずに生活保護の支援をしてくれる人に相談すべきです。

もっとも自分では最低生活費がいくらかも計算は難しいと思います。困ったときは、弁護士会、法テラス、生活保護や女性の支援を行うNPO・NGOに相談してみてください。

下のリンクのパンフレットの中に、各地の生活保護支援団体の連絡先が載っています。弁護士・司法書士の有志の団体で無料相談できますよ。

参考 実は少ししんどいあなたへ あなたも使える生活保護日弁連

生活保護受給後の注意点

生活保護の受給が決まると、福祉事務所に毎月収入を申告しないといけません。ちょっと面倒ですが、収入をもとに生活保護費が決まるので、きちんと申告するようにしましょう。

もし、収入を隠したり嘘の申告をしたりすると、生活保護費の不正受給になり、後で不正に受け取った生活保護費を返さなければならなくなります。

子どもが大きくなって高校生になるとアルバイトを始めることもあるかもいしれません。そのときも、世帯の収入として子どものアルバイト代も申告しないといけないので、注意してください。

MEMO
高校生の子どものアルバイト収入は申告しないといけませんが、生活保護費で支給されない修学旅行費などの学費に充てる分は収入とは認定されないので、実際に高校生の子どものアルバイト収入で収入とされるものは少ないと思われます。

まとめ

生活保護は最低生活費の収入がない家庭に生活費を援助してくれる制度です。

収入が少ないとき、子どもにも我慢させて生活するより、生活保護を受給して最低限の生活ができれば、落ち着いた生活はできます。

生活が苦しいとき、無理して頑張らないで生活保護も検討してください。

また、生活保護を受給しても、家計の節約は大切です。次の記事も参考にして、毎月の支出を見直すことも忘れないでくださいね。