iDeCo(個人型確定拠出年金)とはどんな制度なのか分かりやすく解説 

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老後のお金が不安

そのように感じている方は多いでしょう。

この記事で解説するiDeCo(個人型確定拠出年金)は、そのような不安を解消する一助になるものです。
iDeCoは、節税メリットを享受しながら自分でできる老後の年金資金作り。

この記事では、iDeCoがどのような制度なのかを解説します。

年金制度の仕組み

まず、老後の生活を支える年金制度の仕組みから見てみましょう。
老後を支える年金は、次の4つの年金からなっています。

  • 国民年金(老齢基礎年金)
  • 厚生年金
  • 企業年金
  • 私的年金

一番基本になるのは「国民年金(老齢基礎年金)」で20歳以上60歳未満の人は全て加入することになっていて、老後に受け取ることができます。
ただし、国民年金の支給額はそれ程多くなく、満額受給できても年額77万9300円(平成29年度)で月額にすると6万5000円弱しかありません。

これだけでは、老後の生活はやっていけませんね。
自営業の方は、国民年金しかないので、自助努力で他にも老後資金を作る必要があります。

会社員や公務員の方は、国民年金に加えて厚生年金に加入していて、老後には厚生年金を受給することができます。

さらに、勤めている会社に企業年金があれば、老後に企業年金を受給できます。

そして、自分で老後のために準備するのが私的年金で、iDeCoはまさに私的年金です。
国は私的年金としてのiDeCoを後押しして普及させるために、さまざまな節税メリットを制度化しています。

iDeCoは、基本的に20歳から60歳までの全ての方が加入できますが、一部加入できないケースもあるので、そこから説明しましょう。

iDeCoに加入できる人できない人

iDeCoに加入できるのは、20歳から60歳までのほぼ全ての方です。
ここで「ほぼ全て」というのは、一部iDeCoに加入できないケースがあるからです。

iDeCoに加入できないケース
  • 自営業者で国民年金基金を満額払っている
  • 会社に企業型確定拠出年金がある
  • 国民年金を払っていない

自営業者で国民年金基金を満額払っているとiDeCoに加入できない

自営業者の方の公的年金は国民年金(基礎年金)しかなく、その年金の上乗せとしてあるのが「国民年金基金」と「iDeCo」です。

この国民年金基金とiDeCoの掛け金の上限は、合算で月6万8000円と決められています。

したがって、国民年金基金で上限の6万8000円を掛け金として拠出していると、iDeCoの掛け金の枠が無いため、iDeCoに加入することができません。
そのような場合は、国民年金基金の掛け金を減額して、iDeCoに加入することになります。

会社に企業型確定拠出年金がある場合iDeCoに加入できないことも

企業型確定拠出年金に加入している方は、個人でiDeCoに加入するかしないかを自由に決めることはできません。

企業型確定拠出年金に加入している方が、iDeCoに加入するには、会社の企業型確定拠出年金の規約を変更して、企業型確定拠出年金の加入者がiDeCoの加入者になれるようにし、企業型確定拠出年金の掛け金の上限額を引き下げる必要があります。

企業型確定拠出年金に加入している方がiDeCoに加入しようとするときは、会社に規約がどうなっているかを確認する必要があります。

国民年金を支払っていないとiDeCoに加入できない

iDeCoに加入するには、国民年金を納めていることが前提となります。

つまり、国民年金を滞納していたり、国民年金の免除を受けている場合は、iDeCoに加入できません。

しかし、ここで滞納や免除は、現在の国民年金に滞納や免除がなければ問題ありません。

つまり、過去に滞納や免除の期間があったとしても、現在きちんと国民年金を納めていれば、iDeCoに加入することはできます。

iDeCoの流れ

iDeCoに加入してから将来年金を受給するまでの流れをここで説明します。

iDeCoの流れ
  1. iDeCoに加入する
  2. iDeCoに掛け金を拠出する
  3. iDeCoで資産を運用する
  4. iDeCoで運用したお金を受け取る

iDeCoに加入する

まずはiDeCoに加入します。
iDeCoに加入するには、運用管理機関となる金融機関(証券会社または銀行)を選んで加入手続きをします。

金融機関によって、運用する投資商品や手数料が異なるので迷うかもしれません。
ポイントは、手数料が安く、運用する商品の信託報酬が安い金融機関を選ぶことです。

金融機関の手数料だけではなくて、運用商品の信託報酬にまで気を配るのがよいでしょう。

iDeCoに掛け金を拠出する

iDeCoに加入したら、60歳になるまで毎月掛け金を拠出します。

掛け金の額は、毎月5000円以上1000円単位です。
掛け金の上限は次の表のとおりで、職業などの属性によって異なります。

  掛け金の上限(月額)
自営業6万8000円
サラリーマン勤務先で企業型確定拠出年金・確定給付企業年金に加入していない2万3000円
勤務先で企業型確定拠出年金のみに加入している2万円
勤務先に確定給付型企業年金がある1万2000円
公務員1万2000円
専業主婦2万3000円

iDeCoで資産を運用する

金融機関にある商品を選んで掛け金の運用をします。

運用すると言っても、運用する投資商品を掛け金の配分を決めておけば、あとは毎月自動で運用する商品に投資されます。
ここでは、積極的にリスクを取って運用するか、リスクを抑えて安定的な運用をするか、投資商品選びが重要です。

見落としがちなのが投資信託の信託報酬。
長期の運用になるので、信託報酬によって最終的な運用成績に大きな差がついてしまうことがあります。

iDeCoで運用したお金を受け取る

運用したお金を、原則として60歳以降に受け取ります。
受け取り方は、次の3つ。

  • 一時金としてまとめて受け取る
  • 年金として受け取る
  • 一部を一時金として受け取り、残りを年金として受け取る

受け取り方によって、受け取り時の課税関係が変わってきます。

iDeCoのお得なメリット

iDeCoのメリットには、税金面のメリットが3つあり、さらに運用面で信託報酬というコストが安いというメリットがあります。

同じように積み立てをしながら節税メリットがあるものに「つみたてNISA」があります。
iDeCoとつみたてNISAの違いや使い分けについては次の記事をお読みください。

利益損失リスクiDeCoとつみたてNISAの違いを比較!どう使い分ける?

iDeCo税金面の3つのメリット

iDeCo税金面のメリット
  • iDeCoの掛け金を支払うと所得税住民税が安くなる
  • iDeCoの運用益に税金がかからない
  • iDeCoで年金を受け取るときの税金控除

iDeCoの掛け金を支払うと所得税住民税が安くなる

iDeCoに加入すると、60歳になるまで毎月掛け金を支払います。

このiDeCoの掛け金は全額が所得控除の対象になり、その分所得税や住民税が安くなります。

どの程度税金が安くなるかは所得や掛け金によってことなりますが、所得が高いほど所得税の税率が高いので、その分iDeCoの節税効果も大きくなります。

一例として、課税所得が400万円で掛け金を毎月上限の2万3,000円(年額27万6000円)支払っている場合、年間約8万2800円の節税効果があります。

iDeCoの運用益が非課税

iDeCoは、掛け金を自分で決めた投資商品で運用していきます。

通常は、預金の利息からは20%の税金が控除されますし、投資信託でも運用益から20%の税金が控除されます。

しかし、iDeCoでは、このような運用益に税金は一切かかりません。
つまり、運用益の全額が再投資されるので、効率的な資産運用が可能になります。

iDeCoで年金を受け取るときの税金控除

一時金として受け取るときは、税法上「退職所得」として扱われます。
これは、一時金として受け取る金額から退職所得控除額を差し引いて2分の1を掛けた金額が退職所得として課税対象になります。

年金として受け取るときは、税法上「雑所得」として扱われ、他の年金収入と合算された上で公的年金等控除額を差し引いて、残りの金額が雑所得として課税されます。

どのように受け取るのが有利なのかは、それぞれの状況によって異なってきます。

iDeCoの運用コスト(信託報酬)が安い

iDeCoの掛け金の運用は、主に投資信託で行います。

通常、投資信託で資産運用をすると、購入時に手数料がかかり、運用期間中は信託報酬を運用資産から差し引かれます。

しかし、iDeCoでは、購入時の手数料は不要ですし、信託報酬も一般の投資信託より安く設定されています。

特に、信託報酬は運用期間中毎年支払うものですから、これが安い方が効率的に資産運用をすることができ最終的な利益に大きな影響を与えます。

iDeCoのデメリット

iDeCoのデメリット
  • iDeCoは60歳になるまで途中で引き出せない
  • iDeCoの運用で元本割れをする可能性がある
  • iDeCoは手数料がかかる

iDeCoは60歳になるまで途中で引き出せない

iDeCoに加入すると、掛け金として拠出したお金は原則として60歳になるまで引き出せません。

「積み立てたお金を途中で引き出せないのは不安」と思うかもしれませんが、そもそもiDeCoは老後の資金を作るための制度なので、途中でお金を引き出せないのは、むしろメリットと考えることもできます。

途中で掛け金の拠出が苦しくなった場合にはどうすればいいでしょうか。

まず、iDeCoでは毎月の掛金の額を変更することができます。
ただし、掛金の額を変更できるのは、毎年1月から12月の間に年1回のみです。

万一毎月の掛金の拠出ができなければ、その月は掛け金なしという扱いになり、その分将来受け取れる金額が少なくなります。
しかし、それ以外のデメリットはありません。

iDeCoの運用で元本割れする可能性がある

iDeCoは、投資信託などの投資商品で掛金の運用をします。
投資商品で運用するので、運用成績次第では元本割れをしてしまう可能性があります。

中には「定期預金」のような元本保証型の商品もあるので、どうしても元本割れのリスクを取りたくない場合は、そのような元本保証されている商品を選ぶのも一つの方法です。

iDeCoは手数料がかかる

iDeCoに加入すると、加入時、運用時、受取時に手数料がかかります。

加入時の手数料は、国民年金基金連合会に2777円を支払います。
これは、加入時に一度だけ支払うものです。

次に運用時には、国民年金基金連合会に毎月103円、信託銀行に毎月67円の合計167円を支払います。
さらに、金融機関に毎月の口座管理料を支払いますが、最近では口座管理料が無料のところが増えてきています。
毎月のことなので、口座管理料が無料の金融機関を選ぶのがオススメです。

さらに、運用時には、投資信託の信託報酬が差し引かれます。
直接支払うものではないので、あまり気にされないかもしれませんが、最終的な運用成績に大きく影響してくるので、できるだけ信託報酬が安い投資商品を選ぶのが良いでしょう。

最後に受給時には、信託銀行に受給の都度432円の手数料を支払わなければなりません。

まとめ

将来、特に老後に対する不安は誰にでもあるものでしょう。
年金制度だっていつどうなるかは誰にも分かりません。

そのような不安に対処する方法の一つがiDeCoです。

iDeCoは、早く始めればそれだけ多くの老後資金を用意することができます。
悩んでいるより、まずiDeCoに加入して老後資金を運用を始めてみてはいかがでしょう。