「変動金利の住宅ローンにするのか?固定金利のものにするのか?」
住宅ローンを選ぶ際、 これは永遠のテーマとも言える問題かもしれません。
以前、変動金利と固定金利の仕組みの違いについて書きました。
変動金利と固定金利の違いを正しく知っておくことは、住宅ローン選びには必要です。
しかし、そうは言っても、やはりどちらが返済額が少なくてすむのかが一番気になりますよね。
当面の返済額を比べてみると、
例えば3000万円の住宅ローンを借りる場合
変動金利で0.5%の場合、毎月の返済額は7万7875円
固定金利で1.5%の場合、毎月の返済額は9万1855円
こうして比較してみると、毎月の返済額が少ない変動金利の方が魅力的に見えます。
しかし、変動金利は将来金利が上がって毎月の返済額が増えるかもしれません。
それなら「どちらが得なのか?」という考える方もいらっしゃるでしょう。
Chouette
なぜなら、そういった理由で住宅ローンを選んでも、住宅ローンは35年間もの長い期間返済が続くものなので、35年経ってみないと、本当にその選び方が正解だったかどうかはわからないのです。
そこで、ここでは少し違った視点から変動金利と固定金利のどちらの住宅ローンを選ぶべきか考えてみましょう。
この記事の内容
リスク選好から住宅ローンを選びを考える
Chouette
株式投資をすると、将来値上がりして儲かることもありますが、値下がりすると損をしてしまいます。
株式投資にはこのような価格変動リスクがあります。
将来が不確か、または損をするのがイヤだという理由で株式投資に抵抗がある人もいるでしょう。
一方で、定期預金は満期に受け取れる金額が決まってるので、価格変動リスクはありません。
当面使わない余裕資金があるとき、多少損をするリスクを負っても値上がりする利益を狙って株式投資をする人もいれば、値下がりするのを嫌って定期預金に預ける方もいます。
どちらが正解というわけではありませんが、あなたはどちらのタイプでしょう?
変動金利の住宅ローンは株と同じリスク
株式投資をしている個人投資家はおよそ200万人程度と見積もられています。
興味があっても資金が無いとか銘柄選びが分からないという理由で株式投資をしていない方もいるでしょうが、いずれにしても株式投資に積極的な人は日本では人口の2%からせいぜい3%といったところです。
住宅ローンでは、全期間固定金利のものを選ぶ人は全体の12.6%ですから(2017年度民間住宅ローン利用者の実態調査)、残りの方は変動金利や一定期間固定のものを借りています。
不思議ですね?
株式投資をする人は少ないのに変動金利の住宅ローンを借りる人は多いのです。
変動金利の住宅ローンは、金利が下がれば返済額が少なくて済みますが、金利が上がれば返済額が増えてしまいます。
変動金利の住宅ローンを借りることと株式投資をすることを、あなたの資産に及ぼす影響で考えると、次のことと同じです。
- 住宅ローン金利が下がることは株式投資で株価が上昇すると同じ(得をする)
- 住宅ローン金利が上がることは株式投資で株価が下落すると同じ(損をする)
変動金利の住宅ローンを借りる場合、どれだけの金利上昇までなら許容できるのかを考えておくことと、定期的に金利の動向をチェックすることが必要です。
今は住宅ローンの金利は過去最低水準にあります。
Chouette
固定金利の住宅ローンは定期預金と同じリスク
固定金利の住宅ローンは、定期預金と似ています。
固定金利の住宅ローンでは、35年間の返済額は借りた時に確定します。
返済額が後に増えることも減ることもありません。
インフレやデフレを考えなければ、得することも損することも無いという点では、定期預金と同じでしょう。
逆に言うと、金利変動の影響を受けることはなくても、インフレやデフレの影響を受けます。
インフレになるとお金の価値が下がり、デフレになるとお金の価値があがります。
これを固定金利の住宅ローンで見てみると。
- インフレになることは負担感が減る(得をする)
- デフレになることは負担感が増す(損をする)
金利が今の水準より大きく下がることは考えにくいですが、デフレが続くと、返済額は一定でも負担感は大きくなるというリスクがあります
したがって、固定金利の住宅ローンでは、金利の変動を気にする必要がなくても、景気動向、インフレになりそうかデフレになりそうかは気にしておいた方が良いかもしれません。
まとめ
ここでは住宅ローンを選ぶときのひとつの考え方を示してみました。
現在、金利は現在史上最低水準にあります。住宅ローンを選ぶときはどうしても金利や当面の返済額に目が行きがちになります
しかし、住宅ローンは35年もの間返済を続けるのでその間に金利が上昇する可能性もあるし、インフレやデフレになることもあるということは頭の隅において、そのリスクとどう向き合うかも考えて選ぶようにするのがいいのではないでしょうか。