相続した空き家を売却する?所有し続ける?そのメリット・デメリット

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「空き家を相続したが使い途がなくて放置している」
「相続した空き家の売却を検討しているが相続人間で話がまとまっていない」

司法書士として相続のお手伝いをしていると、このような話を聞く機会は少なくありません。

「いずれは売るつもりでも、もう少し家を置いておきたい。」

親が亡くなって相続したものの、親の家をすぐに売却してしまうのは忍びないので、空き家になっても売却を決めかねている方は多いです。特に子どものときに住んでいた家だと、思い出もあるので、なおさらそうです。

しかし、今後誰も使う予定が無いのでしたら、空き家は売れるうちに売ってしまった方が得です。

早く売る方がメリットが大きく、空き家を放置するデメリットも解消できます。

ここでは、空き家売却のメリットについて詳しく解説します。

空き家を放置することにはデメリットがある

空き家を相続しても誰も住まないで使われないまま空き家が放置されると、時間が経てば経つほど建物が傷んで価値が低下します。また、建物が老朽化して、美観を損ねたり危険な建物になって近隣の迷惑になったりします。

さらに、空き家は、不動産のため毎年固定資産税がかかりますし、維持費として電気料金や水道料金などの公共料金の負担もあります。

このように、相続した空き家をただ持っているだけの状態は、持ち主にとってデメリットしかありません。

「では、空き家を人に貸したらどうだろう」と思うかもしれません。確かに人に賃貸して住んでもらえれば建物が傷むことも抑えられますし、維持費の負担も減るでしょう。

しかし、現在は賃貸物件の空き室率も上がっているので、立地などの条件がよほど良い物件でない限り賃貸するのは難しいかもしれません。

また、空き家を売却したときの税金に、このあと説明する被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例があります。

一度空き家を賃貸してしまうと、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例の3000万円の控除が使えなくなってしまいます。

空き家の使い途が決まっていないからといって、安易に賃貸することは避けた方が良いでしょう。

空き家をそのまま所有し続けると、思い出のある親の家を残しておけるというメリットはあります。しかし、3000万円控除の譲渡所得の特別控除の特例は、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することが要件です。

ですから、早く売却しないと、この譲渡所得の3000万円の特別控除の特例が使えなくなってしまいます。

また、2015年5月に施行された空き家特別措置法により、空き家を持っていることのデメリットがさらに大きくなりました。

空き家特別措置法とは

空き家特別措置法は、放置されている空き家の問題を受けて新たに作られた法律です。

空き家特別措置法では、放置されている空き家の持ち主に対して、行政が適切な管理を求めることができるようになりました。

適切に管理されていない空き家や周辺の住宅の生活環境を損ねるような空き家などを「特定空家」に指定し、必要な措置をするように助言や指導、勧告、命令が可能となりました。必要な措置とは、建物の修繕とか庭の草木の伐採などです。

始めは、助言や指導によって適切な管理を促すだけですが、それでも放置した場合は必要な措置をするように勧告されます。勧告を受けると、空き家が受けられる固定資産税の優遇制度(固定資産税の住宅用地特例)が受けられなくなり、土地については6倍もの税金を納めなければならなくなります。

固定資産税の住宅用地特例

住宅やアパートなど人が居住するための家屋の敷地として利用されている土地(住宅用地)については、固定資産税の特例措置があり、次のとおり税金が軽減されています。
・小規模宅地用地(200㎡以下の部分) 6分の1
・一般住宅用地(200㎡を超える部分) 3分の1

さらに、場合によっては行政代執行により、空き家を解体されてしまいます。代執行で空き家を取り壊したときの費用は、後で所有者(相続人)に全額請求されます。

このように、空き家特別措置法によって、相続した空き家を放置し続けていると、相続人は大きな不利益を受けるようになったのです。

空き家を売った方がいいケース

不動産売却

周辺住民に迷惑をかけたり固定資産税の面で不利になったりすることを考えると、今後相続人の誰も使う予定がない空き家は早めに売却した方がいいでしょう。

早めに売却することで、建物が古くなって価値が下がる前に売却できます。現在は、よほど良い立地でない限り、不動産価格は値下がりしていく傾向にあるので、空き家を手放すのを先延ばしにして良いことは何もありません。

また、空き家を売却した際の、譲渡所得の3000万円控除の特例は、相続開始後3年経過後の12月31日までに売却することが条件です。売却活動を始めてすぐに売れるとは限らないので、早め早めに動くことが大切です。

さらに、築年数が経過した空き家は、高く売ることが難しいだけではなく、倒壊などのリスクも生じます。もし、倒壊して周りの家に損害を与えた場合は、賠償の義務も発生するのです。このような事態を避けるためにも、早めに売却することをおすすめします。

空き家売却のメリット

空き家売却には、様々なメリットがあります。

空き家売却のメリット

  • 維持費がかからなくなる
  • 固定資産税がかからなくなる
  • 譲渡所得について3000万円の特別控除の特例が使える

維持費がかからなくなる

空き家は、定期的に見回って適切に管理することが必要です。

相続人の誰かが見回ったりして管理できればいいですが、誰も管理ができない場合は空き家管理代行業者などに依頼することになり、その費用もかかります。

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この他にも水道光熱費も必要なので、空き家を所有し続けて管理するには費用がかかります。

空き家を売却すれば、このような維持費が一切かからなくなります。

固定資産税もかからなくなる

空き家で誰も住んでいなくても不動産なので固定資産税がかかりますが、空き家を売却してしまえば固定資産税がかからなくなります。

相続人が、相続した家とは別に一戸建てや分譲マンションを所有して住んでいる場合、相続した空き家の固定資産税まで払わなければなりません。固定資産税が積み重なると、10年で100万円を超えるケースは珍しくありません。

早めに売却すれば、固定資産税による経済的な負担を解消することができます。

要件を充たせば譲渡所得の3000万円控除の特例が使える

空き家売却の際には、譲渡所得に応じた所得税の納税義務が発生します。高額で売却できると譲渡所得税も高くなりますが、要件を満たすことで、譲渡所得から3,000万円を控除できます。

被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例の3000万円の控除の主な要件は次のとおりです。

 

空き家売却の譲渡所得の特別控除要件

    • 昭和56年5月31日以前に建てられた
    • 区分所有建物登記がされていない
    • 相続開始の直前に被相続人以外にその空き家に誰も住んでいなかった
    • 相続または遺贈で空き家を取得した
    • 相続から譲渡までの間に住んでいたり貸したりしていない
    • 譲渡の時点で一定の耐震基準を満たしている
    • 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却
    • 売却代金が1億円以下

上記のように、相続してから誰にも貸していないことが条件となるため、安易に賃貸してしまわないように注意が必要です。また、相続開始から一定の期限までに売却することも条件なので、早めに売却する決断をしないといけません。

まず空き家を売るか売らないかを決めよう

一度誰かに貸してしまったり、相続開始から3年以上経過すると、相続した空き家を売却しても、譲渡所得の3,000万円の控除を受けられなくなってしまいます。

今後相続人の誰かが使うような事情があるのかどうかを確認して、誰も使わないときは、売る前提で相続人の間で話し合ってみましょう。

売るかどうかを決めるにしても、いくらで売れるのか、本当に売れるのかが分からないと、なかなか判断ができないかもしれません。そういうときは、一括査定サイトで相場を調べることをおすすめします。どの程度の値段がつくのかがわかるため、売却するかどうか決めやすくなります。

まとめ

相続した空き家は、思い出が詰まった大切な不動産かもしれません。しかし、相続した家を誰も使う予定がない場合は、早急に売却する方が経済的にはメリットが大きいです。

所有し続けていると、固定資産税や、電気ガス水道の公共料金や固定資産税がずっとかかり続けます。また、よほど条件の良い物件でない限り、今後も値上がりはあまり望めないでしょう。

家は空き家にしておくとどんどん傷んでいきます。やがては買い手がつかず、売るに売れない状況になることも考えられます。

一方で、空き家売却のメリットは、売却して現金を得られることだけではありません。管理にかかる費用や固定資産税もかからなくなるため、維持する負担が改善されます。また、特定空き家に指定されて、空き家管理の責任を負うこともなくなります。

まずは、空き家の一括査定を受けて、売れるのか、いくらで売れるのかを確認して、相続人同士で話し合ってみてはいかがでしょう?