相続放棄の意味を間違えて大失敗!母親が全部相続するために子供が全員放棄したのに

大失敗

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お父さんが亡くなり、お母さんと子どもたちが相続人になりました。

相続で遺産を分ける話はもめることなく、全部お母さんに相続してもらうことでほぼまとまりそうです。

そんなとき、子どもの一人が「子どもが全員放棄をすればいいよね。」と言いました。
そして、インターネットで調べてみると「相続放棄は家庭裁判所で手続きをしなければなりません。」と、どのサイトを見ても書いてあります。

そこで、インターネットで調べたとおり子どもたちが全員家庭裁判所で相続放棄の手続をしました。

するとどうなるでしょうか?

当初考えていたのとは、全く違った結論になってしまいます。

その相続放棄は大失敗です!

詳しく説明しましょう。

相続放棄か遺産分割か

今回のように円満に話し合いがまとまった場合、遺産を分けるための話し合い(遺産分割協議)ができたことになります。

MEMO

一般の方は、このような話し合いがまとまったとき「子どもたちが放棄した」と言うことはよくありますが、それは「相続放棄」ではなく「子どもが何も相続しないでお母さんが全部相続する」という遺産分割協議ができたということを意味しています。

このような遺産分割協議ができても、お母さんだけでなく子どもたちも相続人の地位は失いません。

相続人の地位を失わないということは、相続人のままであるということです。
したがって、もしお父さんに借金があると、お母さんだけでなく子どもたちも法定相続分に応じて借金を相続して支払う義務を負うことになります。

一方、子どもたち全員が家庭裁判所で相続放棄をすると、子どもたちはお父さんの財産を相続しませんし、もしお父さんに借金があっても借金の支払い義務を負うことはありません。
というのも、家庭裁判所で相続放棄をして受理されると、最初から相続人ではなかったことになるからです。

「相続放棄をすると最初から相続人ではなかった」ことになるので、今回のケースで子どもたち全員が相続放棄をすると当初予期していなかったことになってしまいます。

全員が相続放棄をすると次の相続人が登場

子どもたち全員が相続放棄をすると、最初から第一順位の相続人としての子どもがいなかったことになります。

第一順位の相続人がいないことになると、次は第二順位の相続人として亡くなったお父さんの父母が相続人として登場します。
つまり、子どもたちから見ると、お母さんと祖父母が相続人となって、相続について話し合いをしなければならなくなります。

祖父母がご存命でも、高齢で認知症になっているような場合、遺産を分ける話し合いはできないので、成年後見人をつけなければなりません。

注意

成年後見人がつくと、家庭裁判所から監督されることになり、遺産分割の話し合いでは法定相続分は確保しなければならないので、お母さんが遺産の全部を相続することができなくなってしまいます。

また、仮に亡くなったお父さんの両親も(それより上の世代も)亡くなっているときは、第三順位の相続人としてお父さんの兄弟姉妹が相続人になり、お母さんと相続の話し合いをすることになります。

ここまでくると、話し合いが難しくなるかもしれませんね。

まとめ

お母さんのために子どもたち全員が相続放棄をしたはずなのに、却って問題を複雑にしてしまうことになりました。

相続放棄は、インターネットで調べると書類は素人でも簡単に作れてしまいそうです。

相続放棄の書類は簡単に見えても、相続放棄をしたときの効果を理解しておかないと取り返しがつかないことになりかねません。一旦認められた相続放棄を無かったことにするのは、ほぼ不可能だと思っておいてください。

相続の手続きは、どの手続を取ってどのように進めるか慎重に判断する必要があるのです。

特に相続放棄をしようかというときは、素人判断をしないで専門家に一度相談することをおすすめします。