司法書士と行政書士の違いは?何を相談できるの?

法律

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司法書士行政書士を仕事でしていると、

司法書士の仕事をしているのに「行政書士」と呼ばれたり
行政書士の仕事をしているのに「司法書士」と呼ばれたり

司法書士と行政書士を間違われることも多いです。

どちらも「書士」が付いて似たような名称ですし、依頼者の方にとっては、依頼した目的が果たせれば、その違いはどうでもいいのかもしれません。

そうなのかもしれませんが、資格が違うので、それぞれできることも違います。

ここでは「司法書士」と「行政書士」の違いについて説明します。

司法書士と行政書士の業務内容の違い

司法書士も行政書士もどちらも国家資格です。

国家資格ですから、司法書士と行政書士の業務の内容は法律で決められています。

司法書士とは

司法書士の仕事の内容は、おおざっぱに言うと

  • 登記申請
  • 裁判所に出す書類の作成
  • 簡易裁判所での民事訴訟の代理
  • 裁判外の示談交渉(140万円まで)
  • 成年後見業務、財産管理業務

が主なところです。

行政書士とは

一方行政書士の業務は

  • 各種許認可申請
  • 権利義務に関する書類の作成
  • 事実証明に関する書類の作成

が主な業務です。

こうやって羅列されても

「で?」

という感じで、具体的な違いがわからないかもしれませんね。

何かを相談または依頼しようと思ったときに、どちらにすればいいのでしょうか。
次に説明しましょう。

まかせてください

司法書士と行政書士のどちらに依頼する?

ここでは一般的によくある依頼内容から、その違いを説明してみます。

相続を依頼するとき

相続を相談または依頼するときには、その内容・目的によって異なります。

行政書士が相続に関してできることは、戸籍を集めて相続人を確定させたり、遺産の分け方について話ができたときの書類の作成です。

司法書士は、不動産の名義変更登記が仕事の内容です。

不動産の名義変更登記があるときは司法書士に相談した方が早いでしょう。
戸籍などの書類をそろえて登記申請までできますから。

不動産の名義変更がないときは、どちらでも構わないと思います。
預貯金の名義変更はどちらでもやってくれるでしょう。

なお、相続人同士で話し合いがつかずもめているときは、司法書士も行政書士も間に入って誰かの代理人として話をまとめることはできません。

もめてしまったら弁護士に依頼するしかありません。

また、相続税の申告が必要なときは税理士に依頼します。

このように相続のときは、場面によって依頼する相手が変わります。

場合によっては複数の士業が連携を取りながら手続きを進める必要も出てきます。

家族が認知症になって成年後見が必要なとき

ご家族が認知症になってしまって誰かが代わりに預貯金の管理しないといけなくなったら家庭裁判所に成年後見の申立をします。

これは裁判所に書類を出すので司法書士の業務です。
もちろん弁護士もできます。

申立をすると、家庭裁判所が本人に代わって財産を管理する人である成年後見人を選びます。

この成年後見人として誰を選ぶかは裁判所が決めることなので資格による制限や違いはありません。

また、認知症になる前に、認知症になった後で財産管理をしてくれる人を選んで契約することができる制度もあります。

この契約(任意後見契約)は誰としてもいいので、最も信用できる人とすればいいでしょう。
司法書士や行政書士でなくてもかまいません。

会社設立を依頼するとき

社長

会社設立を依頼するときは、相続とは少し異なります。

というのも、会社はどれだけ書類を作っても、登記をしないと会社として成立しません。

言い換えれば、会社を設立する登記をしたときに法律的に会社が成立します。

この登記ができるのは司法書士です。
行政書士は登記ができません。

起業して会社を作りたいと思ったときは、会社を作る際最も重要な登記ができる司法書士に相談するのが正解です。

しかし、インターネット上には、行政書士が会社設立する広告があふれていますね。

これはどういうことかというと、会社を作るための定款などの書類は行政書士が作成することは問題ありません。

だけど、行政書士では会社設立の一番重要な「登記」をすることができませんし「登記申請書」を作成しても違法になります。

ですから、行政書士に依頼すると登記を自分でするか、登記だけ司法書士に依頼するという手間がかかる結果になります。

事業の許可・認可を依頼するとき

役所

起業して何かの事業を始める際にその事業の許可や認可が必要なときは、行政書士に相談してください。

許認可の申請は行政書士の独壇場です。

会社を設立してすぐに許可を取るときには設立の段階から許可のことを考えておく必要があるので司法書士と行政書士の連携が欠かせません。

また、外国人の方を雇うとか、国際結婚などで在留資格(ビザ)が必要なときも行政書士です。

裁判するとき、されたとき

裁判

何かもめ事が起こって裁判をしたいとき、または裁判されたとき一番に思い浮かぶのは弁護士ですね。

弁護士に依頼すればあなたに変わって裁判を進めてくれます。

ただし、自分で裁判をしたいとか金額が140万円までであるときは司法書士に依頼することもできます。

このとき司法書士は裁判所に出す書類を作ったり代わりに簡易裁判所に出廷したりできます。

まとめ

いかがでしょう?
ややこしいですよね?

資格制度が細分化されているために、分かりにくい制度になってしまっているかもしれません。

また、依頼する内容によっては、士業同士の連携が必要な場面もでてくるので、1人に依頼して完了とはいかないこともあります。

もし迷ったらどうすればいいでしょう?

遠慮しないで問い合わせてください。
そして、どこまでやってもらえるのか説明を聞いてください。

私は、司法書士と行政書士を兼業しているので普段はそんなに違いを意識していないんですけどね。