「家は一生に一度の買い物!」
そう考えて、住宅を買うときの関心は「家」そのものに向きがちです。
そして住宅購入を決めると、普通の方は金融機関から住宅ローンの融資を受けます。
住宅ローン選びをする際、住宅ローンの金利と毎月の返済額は気になりますが、支払う利息の総額はそれ程気にしていないかもしれません。
しかし、金利などの条件によっては、住宅ローンは家以上に高い買い物になります。
家そのものの価格よりも、支払う住宅ローンの利息のほうが多い。
そういうケースが無いわけではありません。
今回は、いくつかの住宅ローンの返済例を紹介しながら、元金と利息を合わせた総返済額について考えていきます。
この記事の内容
総返済額は4つの要素で決まる
総返済額を考える場合、この金額は次の4つの要素で決まることになります。
- 元金(借入金)
- 金利
- 返済期間
- 返済方法
元金
借り入れる元金が増えれば、総返済額も増える。
このことは簡単に理解できますね。
また、元金に対して利息を支払うので、借り入れる金額が増えれば、増えた元金以上に返済額は増えます。
一生に一度の買い物だから。
そう思って、例えば購入金額を200万円増やすと、総返済額は200万円増えるだけではなく、200万円に対してかかる利息分も増えることになります。
金利
低い金利で借りれば、総返済額は少なくなり、金利が高くなれば、総返済額は増える。
このこともすぐにイメージできますね。
ただし、低金利の変動金利型で住宅ローンを借りても、将来金利が上がって返済額が増えてしまうリスクもあるので、低金利で借りればいいというものでもありません。
返済期間
住宅ローンを借りるとき、返済期間は一般的には35年にするケースが多いでしょう。
無理なく返済するためには、それで問題ありません。
ただし、総返済金額を考えたときは、返済期間が短いほうが総返済額も少なくなります。
返済方法
返済方法には「元利均等返済方式」と「元金均等返済方式」の2つのタイプがあります。
元利均等返済方式とは、毎月の返済額が一定の返済方法です。
この方法で返済すると、最初のうちは利息の支払が多く、元金がなかなか減らないので、総返済額は多くなります。
一方、元金均等返済方式は、毎月の利息と定額の元金を返済します。
この方法では、最初のうちは利息の返済額が大きくて、毎月の返済額が大きいですが、徐々に返済額が少なくなり、結果元利均等返済方式より総返済額は少なくて済みます。
返済総額をシミュレーション
4つのパターンを例にして考えていきましょう。
シミュレーションの条件は分かりやすさを重視するために、金利は固定金利とし、特別な事情は一切考えないものとします。
元金(借入金)3,000万円 固定金利1.5% 返済期間35年 元利均等
毎月の返済金額は91,855円となり、総返済額は約3,858万円になります。
支払利息は返済期間35年間で約858万円ということになります。
元金(借入金)3,000万円 固定金利1.5% 返済期間30年 元利均等
毎月の返済金額は103,536円となり、総返済金額は約3,727万円になります。
支払利息は返済期間30年間で約727万円ということになります。
上の例と比較すると、5年間短くしたことで、支払利息が130万円程少なくなりました。
元金(借入金)3,000万円 固定金利2.0% 返済期間20年 元利均等
毎月の返済金額は151,765円となり、総返済金額は約3,642万円になります。
支払利息は返済期間20年間で約642万円ということになります。
上の2つのケースと比べて、金利が上がったのに、返済期間が短いので、支払利息は少なくなりました。
元金(借入金)3000万円 固定金利1.5% 返済期間35年 元金均等
当初の返済額は108,928円で総返済金額は3789万円です。
支払利息は789万円です。
上の最初のケースと元金、金利、返済期間が同じですが、元金均等方式にすると支払利息は少なくなりました。
総返済額が元金の2倍になるのは
上のシミュレーションでは、支払利息は元金の2割~3割程度でした。
今は低金利なので心配要らないと思いますが、金利が4.55%になると、35年間固定金利で、元利均等方式で返済すると、支払利息が元金より多くなってしまいます。
つまり借りた金額の2倍以上返済するということ。
まとめ
元金は同じでも、金利や返済期間が異なることで支払利息や総返済金額に大きな違いがでることが確認できました。
総返済金額に影響を与える4つの要素の組み合わせは多種多様で、かつ、それぞれの金融機関で独自のサービスが存在するため、自身にあった住宅ローンの組み合わせを見つけるのには時間がかかります。
重要なのは金利の高低や総返済額の多少ではなく、住宅ローンを滞ることなく返済すること。
これから住宅ローンを検討している方は、毎月の返済金額が余裕を持って返済していける金額かどうかをまずもって再確認していく必要があるでしょう。